「すがおProject」は、食糧学院の卒業生に在校生が直接インタビューを行い、「卒業生の歩んできた人生や経験を在校生の視点でまとめて紹介する企画」です。 サイトをご覧の皆様に、卒業後の多様なキャリアや人生の歩みをお伝えしていきます。
【卒業生ご紹介】
お名前: 前波 一郎 さん〈まえなみ いちろう〉89歳、 2026年4月で90歳
ご出身: 京都府 舞鶴市
ご卒業: 昭和35年(1960年)東京栄養食糧専門学校 卒業
2026年3月の今は?: 東京マスダ調理師専門学校 理事・専任講師
インタビュー冒頭で前波氏は、「当時の学校生活を80%、自分の話を20%話すつもりで準備してきた」と語り、穏やかにお話を始められました。
昭和33年当時、男性が栄養士を目指せる学校は非常に少なく、食糧学校は貴重な存在でした。
京都府舞鶴市出身の前波氏は、家族の反対を押し切って上京し、寮生活を送りながら学びました。
卒業後は虎の門病院、東京医科大学病院、武田薬品の子会社、給食会社で経験を積み、32歳で独立開業。現在は調理師学校の理事・専任講師として教壇に立っています。
インタビューでは、学校の歴史、授業内容、実習、就職活動の苦労、独立までの道のり、さらには太極拳への取り組みまで、幅広い話題が次々と語られました。
【後輩の皆さんに伝えたいこと】
- 尊敬される人・先生としての立場を意識し、日々の生活を整えること
- 何事も決してあきらめないこと。逃げ癖は一生残る
- 学校は「社会に出るための予防注射」
- 自分の功績を形として残したいという思いを持つこと
【今、一番伝えたい言葉】
- 決して諦めないこと。自信を持って卒業してほしい。前準備は確実に
- 元気でいるためには、常に頭を働かせ、言葉は丁寧に
- 今は専門学校の理事・専任講師を務めているが、死ぬまで働き続けたい
前波氏の言葉には、長年教育に携わってきた方ならではの温かさと厳しさが込められていました。
インタビューの内容を下記にまとめました!
前波さんはどうして食糧学校に入学されたのですか?
昭和33年に入学しました。
当時、栄養士という職業はほとんど知られておらず、男子が栄養士になるための学校は都内に専門学校はありましたが、短大、大学はありませんでした。私は京都府舞鶴市出身で、栄養士の仕事は良い仕事だと聞いていたので、東京で男子を入れる学校を調べて食糧学院があることがわかり、パンフレットを取り寄せて入学を決めました。
当時の学校にはどのような科目がありましたか?
栄養指導は芳賀先生、病院食は芦沢先生(慶応病院の給食担当)、日本料理、中国料理は黒岳海さん、西洋料理は東京會舘の先生、製パンの授業もありました。学校の後ろにパン工場があり、そこの工場長が来て実際に製パンを教えてくれました。
統計学、栄養科学なども学びました。
卒業後の就職はどうでしたか?
最初は虎の門病院に就職しましたが、実際の仕事は一般食のご飯炊きだけで、半年我慢した後、1年ぐらいで辞めました。その後、東京医科大学病院で2年ぐらい勤務し、武田薬品の子会社の総合栄養研究所で営業を経験した後、給食会社で6年から8年働いて、32歳で独立しました。
独立するときに周りの反応はどうでしたか?
みんな大反対でした。家族も親戚も「会社が潰れたらどうするのか、生活はどうするのか」と反対しました。ただし、妻だけは反対しませんでした。後で聞いたところ、妻は「本当は独立したかったのだろうから、やらせてあげよう。失敗しても成功しても、やった方が良かったのではないか」と考えていたそうです。
素晴らしい奥様ですね、、と全員のリアクションでした。
どのような給食事業を手がけられたのですか?
主に社員食堂と寮の給食を手がけました。大手給食会社がやりたがらない小規模で面倒な案件を狙いました。社員食堂は天候や交通事情で休む人が多く、寮の場合は病気でも食事を作らなければならないという特徴がありました。応援を出さなくても済むような案件を選んで32年間事業を続けました。
現在の学生と昔の学生の違いはありますか?
私の時代は年上の学生も多く、お金を払って来ているので一生懸命勉強しました。今の学生は聞き方は良いのですが、行くところがなくて来ている学生もいます。授業中に寝ている学生には「お金を払って来ているのだから寝ないで聞いた方が良い」と言うと、次から寝なくなりました。
【事務局からの感想】
87年の歴史のある栄養士校において、昭和の激動期に栄養に携わった前波さんのお話は、在校生や卒業生の参考になると考えます。
前波さん、インタビュー参加の在校生の皆さん、ありがとうございました。

前波さん:1960年卒業
在校生:管理栄養士科 野田安衣さん、杉浦悠加さん、千葉祥平さん、山田楓希さん
栄養士科 河合和輝さん
写真左から: 河合さん、中静(学友会事務局)、前波さん、廣嵜(学友会会長)、野田さん、 杉浦さん、山田さん、千葉さん
