
学友会会長

Ⅰ.フランス
①Chardonnay(シャルドネ)
➩主地域:BOURGOGNE(ブルゴーニュ)地方、ブルゴーニュ発祥の品種ですが、シャンパーニュやヴァン・ド・ペイ・ドック等仏国内でも多く栽培され、現在ではニューワールド(USA・オーストラリア・ニュージーランド・チリ・アルゼンチンそして日本でもポピュラーな品種です。 このように白ワインといえばシャルドネというくらい世界的に有名な品種。ブルゴーニュのコルトンの丘に植樹されたのが始まりといわれています。そのきっかけを作ったのが、今日の「ルイ・ラトゥール」です。

コルトンの丘の斜面に広がるこの偉大な畑の歴史は古く、畑名はこの地にブドウ畑を所有していた西ローマ帝国のカール皇帝(フランス語でシャルルマーニュ大帝)に由来しています。コルトン・シャルルマーニュの白ワインの始まりは、19世紀後半にフィロキセラの影響でピノ・ノワールが壊滅的被害を受けた際に、シャルドネが植えられたことに由来しています。
そもそも、石灰岩質の多いコルトンの南西斜面にシャルドネを植えたのがルイ3世でした。 このとき、土地を所有していたカール大帝(シャルルマーニュ)に敬意を表して、コルトン・シャルルマーニュと名付けられました。
ルイ・ラトゥールは、1797年創立のラマロッスを起源とするボーヌのネゴシアンです。アンリ・ラマロッスは相続者を持たず1867年に死去し、古くから彼の右腕であったルイ・ラトゥール3世がこれを継承、メゾン・ルイ・ラトゥールを興しました。コルトンの大地主で絶対的品質のワインを造る生産者ラトゥール家がブドウ畑の拡大に乗り出したのは19世紀末、グランセイ伯爵が、グラン・クリュ・コルトンをはじめとする35haのドメーヌをルイ・ ラトゥールに売却してからで、今日、その地勢図はジュヴレ・シャンベルタンからピュリニィ・モンラッシェまで45.78haにおよびます。とりわけ白ワイン造りにおいて非常に信頼があり、9haを所有するコルトン・シャルルマーニュはルイ・ラトゥールの看板ワインです。
今日、ルイ・ラトゥールを率いているのは、7代目のルイ・ファブリス・ラトゥールであり、ドメーヌのブドウ栽培とワイン造りは、ドニ・フェッツマンとジャン・ピエール・ジョバールが指揮を執ります。またルイ・ラトゥールは、南のアルデッシュにおけるシャルドネの潜在性にいち早く着目した生産者で、このヴァン・ド・ペイのパイオニアとして大いなる成功を収めた後、さらにその余勢を駆ってヴァール県でのピノ・ノワール栽培にも乗り出しました。
ワインの特徴:酸味とコクのバランスのとれたブドウです。主張の強くないバランスのよいブドウのため、樽熟成させればオークの香りが加わって複雑な風味に仕上がります。また、バラエティに富んだ風味を生み出すシャルドネからは軽いワインから重厚なワインまで、様々なスタイルのワインが造られます。香りはリンゴや柑橘系の果物に例えられます。樽熟成をしたものはバニラのような香りも加わります。
資料参考:ブログ・ワインの基礎(アカデミー・デュ・ド・ヴァン)より
②Riesling(リースリング)
フランス・アルザスで著名なブドウ品種。ドイツが起源の代表的品種です
優雅さや繊細さが特徴的なブドウで、セミヨンと並び「二大貴腐白ブドウ」と呼ばれています。 甘味と酸味のバランスがとれたブドウ品種です。ただ、産地によって甘味と酸味の強弱が大きく変わり、若いうちは白い花の香り、青リンゴや柑橘系の香りが特徴的ですが、熟成するにつれて複雑になり、石油(ペトロ)を思わせる独特の香りを放ちます。ドイツでは、ワインの格付けが上がるほど糖度が上がり甘口デザートワインとして飲まれることが多いですが、Qbaクラスやカビネットは近年トロッケン(辛口表示)タイプも増えています。アルザスでは最初から辛口のワインとして仕上げています。
甘口の最高峰といわれる貴腐ワインにもなります。貴腐ワインは葡萄を初冬までの遅摘みにして、貴腐菌(ボトリティス・シネレアBotrytis Cinerea)が繁殖することで、果皮のロウ質が菌によってなくなり、果肉水分が自然蒸発することにより干しブドウ状態となり、その結果糖分が濃縮された状態となります。また適度な酸味は残り、極甘でもしっかりと酸味が支えるバランスの良いワインとなります。


ドイツでは、ベーレンアウスレーゼ(Beerenauslese),
トロッケン・ベーレン・アウスレーゼ(Trockenbeerenauslese)が
貴腐ワインと呼ばれます。ボルドーではソーテルヌ(シャトー・ディケム,品種はセミヨンが主体でソーヴィニヨン・ブランやミュスカデルがブレンドされる)・バルザック、ハンガリーのトカイ・ワイン(品種はフルミントが主体)も貴腐ワインとして有名です。オーストラリアでも古くから生産されています。


③Sauvignon・Blanc(ソーヴィニヨン・ブラン)
仏・ロワール地方原産。現在は世界各国で栽培される。
ソーヴィニヨン・ブランの特徴は、青草やハーブを思わせるフレッシュな香りです。冷涼な地域で造られるものはハーブやレモンを感じる酸味が感じられ、温暖な地域で栽培されたものはグレープフルーツや桃のようなフルーティさを持ちます。
酸味の効いたフレッシュな辛口タイプが多く造られますが、フランスのソーテルヌではセミヨン,ミュスカデルと併用され、極甘口の貴腐ワインの原料としても使われています
仏・ロワールの産地では、サンセールやプイィ・フュメが有名です。ボルドーでは、セミヨンとのブレンドが多いです。その他ラング・ドォックや、オーストラリアでは100%で醸造されていることが多いです。
④Pinot・Gris(ピノ・グリ)
⇒主要産地:フランス・アルザス地方原産
黒ブドウであるピノ・ノワールのクローン(突然変異種)とされる品種。グリ=灰色という名の通り、果皮はやや灰色がかったピンク色や薄い青紫色をしています。ピノ・グリとピノ・ノワールは葉も樹体も非常に似ていて、外見では果皮の色でしか判別ができないと言われているほど。酸味は落ち着いた印象、且つまろやかなコクを感じさせる味わいが特徴です。イタリアではピノ・グリージョと呼ばれています。
味わい:豊かな果実味、厚みのある風味香り:アンズや白桃などの果実、蜂蜜のようなニュアンス 主な産地:フランス(アルザス)、イタリア(フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア)、アメリカ(オレゴン)、豪州
写真・文 出典:
Beau ciel株式会社「白ワインのブドウ品種15種類まとめ」https://winejourney.jp/
「新ワイン学」編集幹事・戸塚昭,東條一元(株)ガイアブックス発行
学友会会長
廣嵜明博