【ワインの楽しみ方6】日本のワイン主要産地の認定

廣嵜明博

学友会会長

昨今日本でのワイン醸造が活発になっており、以前からの山梨県や北海道,山形県の他に、各県での醸造が盛んに行われています。ただその醸造状況は様々で、青果用ブドウを原料としているところや、本格的に醸造用ブドウ品種を育て、フランスやドイツ,イタリアの醸造方法を学び、設備をしっかりと備えて醸造するワイナリーまで様々です。このような状況の中、外国から買い付けたバルクワインやぶどうジュースからワインを作って販売したものと違い、自らの畑又はその地域で栽培したブドウから、醸造から熟成瓶詰まで行っているワイナリーの、その地域の特徴あるワイン造りを保護し、品質向上と国産ワインの定義などの整備のために法制化が進んでいます。

ヨーロッパには伝統的なワイン法が存在し、アメリカやオーストラリアもそれらに倣い法整備をしています。

そこで近年日本でも、ヨーロッパのAOP(原産地呼称保護)制度などに似た仕組みで、日本ワインの国際的な信頼性向上を図っています。その制度がGI制度です。

正式には酒類の地理的表示(GI)制度で、GIとは「Geographical Indication」の略

認定ワインは産地ごとに異なる特性を持ち、日本ワインの多様性を豊かにしています。

酒類や農産品について、ある特定の産地ならではの特性が確立されている場合に、当該産地内で生産され、

生産基準を満たした商品だけが、その産地名(地域ブランド)を独占的に名乗ることができる制度です。

【GI】とは 国税庁が管轄する酒類の表示制度。 

   参照➪国税庁HP|酒類の表示

➣地域の気候・風土・伝統的な製法などがワインの品質に影響を与えていることを認定基準とし、一定の条件を満たしたワインに「GI表示」が認められます。

➣GI表示があることで、そのワインが「地域の特性を活かして造られた高品質な製品」であることが保証されます。

GI認定地域(2025年時点)

現在、日本ワインでは以下の5地域がGI認定を受けています:

地域指定年主な品種特徴
山梨2013年甲州、マスカット・ベーリーAなど穏やかな酸味とバランスの良さ
北海道2018年ピノ・ノワール、シャルドネなど果実味と酸味・甘味の調和
山形2021年シャルドネ、メルロなど爽やかな酸による余韻
長野2021年メルロ、シャルドネなど品種ごとの香味が明確
大阪2021年デラウェア、甲州など凝縮された果実味と旨味

GI認定の条件】(一部抜粋)

  • 品質審査(官能検査など)に合格すること
  • 原料ブドウの85%以上が産地内で収穫されたもの
  • 醸造・貯蔵・瓶詰めが産地内で行われていること
  • 品種ごとの糖度やアルコール度数などの基準を満たすこと
山梨県
北海道
山形県
長野県

日本ワイン・国内製造ワイン・輸入ワインの区別(表示ルールの義務付け)

①日本ワイン      :国産ぶどうのみを原料とし、日本国内で製造された果実酒をいいます。
②国内製造ワイン:日本ワインを含む、日本国内で製造された果実酒及び、甘味果実酒をいいます。
③輸入ワイン      :海外から輸入された果実酒及び、甘味果実酒をいいます。

【日本ワインの表示項目】

※併せて「東京は原料として使用したぶどうの収穫地ではありません」等の表示が必要
出典データ:平成28年2月 国税庁酒税課発表資料

地名を
表示できる場合
ワインの産地名の 表示地名が示す範囲内にぶどう収穫地(85%以上使用)と 醸造地がある場合
ぶどうの収穫地名の 表示地名が示す範囲内にぶどう収穫地(85%以上使用)が ある場合
醸造地名の表示地名が示す範囲内に醸造地がる場合
ぶどうの品種名を
表示できる場合
単一品種の表示単一品種を85%以上使用した場合
二品種の表示二品種合計で85%以上使用し、量の多い順に表示する場合
三品種以上の表示表示する品種の合計を85%以上使用し、それぞれの 品種の使用量の割合と併せて、量の多い順に表示する場合
ぶどうの収穫年を
表示できる場合
同一収穫年のぶどうを85%以上使用した場合