【ワインの楽しみ方3】 ワインの種類、タイプと味わいの特徴を形成するブドウ品種について(2)

廣嵜明博

学友会会長

伝統的ワイン産地における主要ブドウ品種

フランス:古くから世界的に高品質のワインが生産され、フランス国内の主要産地の地域指定品種が早くから定められ、それらのブドウ品種は新興国でのワイン生産用に苗木の持ち込みがされ、現在各国で広く栽培され、フランス主要産地と同等のワイン造りを目指す目標ともなってきました。
代表的な品種を以下にあげます。

 参考資料:Winegrocery.com 

赤(黒)ブドウ品種(フランス)

◆主地域:BOURGOGNE(ブルゴーニュ)地方

①Pinot Noir(ピノ・ノワール)・・・ニュー・ワルードでも盛んに栽培されるが、エレガントさに欠ける
ロマネ・コンテに代表されるブルゴーニュの主要品種。ブルゴーニュでは赤ワインも白ワインも単一品種で作られるのが一般的です。テロワールや気候に影響を強く受けやすく、コート・ドール地区においては秀逸性を発揮する品種。 シャンパーニュでも栽培され、一般的にはシャルドネ種とブレンドされシャンパンとなります。Blanc・de・Noir(ブラン・ド・ノワール)はピノ・ノワールで作られます。ワインは、透明感のある鮮やかなルビー色で、ソフトなタンニンで滑らかな味わいとなります。 最近は、オーストラリアのヤラ・ヴァレーやニュージーランド、米国のオレゴンなどで高品質のワインが生産されています。 ドイツではSpatburgunder(シュペートブルグンダー)・イタリアではPinot・Nero(ピノ・ネーロ)と呼ばれます。

②Gamay(ガメイ)・・・Beaujolais・Nouveu(ボジョレー・ヌーヴォー)で有名な品種

ブルゴーニュ地方Beaujolais(ボジョレー)地区で主に栽培される品種。タンニンが少なく、フルーティで軽い口当たりのワインとなります。
近年マセラシオン・カルボニック製法(炭酸ガス浸漬法)にて、より鮮やかな赤色のフルーティなワインが主流となっています。
ボジョレー地区10カ村の名称を名乗れるワインをCrus・du・Beaujolais(クリュ・デ・ボジョレー)といい、熟成感があり、深みのある味わいとなるものも多い。

*ブルゴーニュ地方は、北から「シャブリ地区」・「コート・ド・ニュイ地区」・「コート・ド・ボーヌ地区」「コート・シャロネーズ地区」・「マコネ地区」・「ボジョレー地区」の産地からなります。 赤ワインはピノ・ノワール種・ボジョレー地区ではガメイ種で作られる。白ワインはシャルドネ種が主流で、一部でアリゴテ種が使われます。

◆主地域:BORDEAUX(ボルドー)地方

③ Merlot(メルロ)・・・昨今この品種も、カベルネ・ソーヴィニヨン同様国際品種

ボルドーにおいて、カベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンド品種として栽培されています。 ポムロール地区においては主要品種として使われ、Château Petrus(シャトー・ペトリュス)ではこの品種を95%使用し、残り5%にカベルネ・フラン種を使い、ロマネ・コンテをしのぐ高品質のワインが造られます。カベルネ・ソーヴィニヨンよりタンニンが柔らかで早く熟成し、色が濃くプラム、カシスなどの果物の香りを持ちます。適応性が高く、南北アメリカやオーストラリア等のニュー・ワールドだけなく、イタリア北部や東欧等欧州各地のワイン産地で栽培されています。また最近では日本でも各地で栽培されるようになっています。カベルネと違い粘土石灰質の土壌が適しています。

④ Cabernet Sauvignon(カベルネ・ソーヴィニヨン)・・・国際品種として各国で栽培

ボルドー地方の代表的品種で、タンニンがしっかりして、色が濃い、典型的なフルボディタイプのワインとなります。熟成によって豊かな味わいと華やかな熟成香が生まれます。晩熟な品種で温暖な気候、水はけのよい砂質砂利土壌が適しています。ボルドー地方のMedoc(メドック)地区やGraves(グラーブ)地区で主要品種として栽培され、一般的にボルドーでは、Cabernet・Franc(カベルネ・フラン)やメルロとブレンドされます。カリフォルニアやオーストラリア、チリなどでは単一品種で醸造されることが多い。1855年格付けの1級格付けの5大シャトーの内、シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ラトゥール、シャトー・マルゴー、シャトー・ムートン・ロートシルト(1973年に1級に昇格)はメドック地区にあり、シャトー・オーブリオンはグラーブにあります。

◆主地域:フランス南部地方,Cotes du Rhone(コート・デュ・ローヌ)北部地区

⑤Syrah/Shiraz(仏語シラー/英語シラーズ)・・・ローヌ他南仏・豪州が著名産地

完熟すると凝縮した濃厚な味わいなります。黒胡椒などスパイシーな香りが特徴的なワインとなります。コート・デュ・ローヌの北部エルミタージュやコート・ロティが、高品質のワインの生産地として有名です。南部ローヌではグルナッシュ(Grenache)を主体とした赤ワインのブレンドに用いられます。オーストラリアに最初に持ち込また品種がこのシラーズと言われます。現在はオーストラリアのほぼ全ての産地で栽培されており、特に南オーストラリア州のバロッサ・ヴァレーにある、ペンフォールズというワイナリーの、グランジ(初期はグランジ・ハーミテージ)が仏ワインを凌ぐ高品質のワインと知られています。

学友会会長
廣嵜明博