
学友会会長
Ⅱ.イタリア
◆主地域:TOSCANA(トスカーナ州)
①Sangiovese(サンジョヴェーゼ):現在イタリアで最も多く生産されている、赤ワイン用ブドウ品種
トスカーナ州とエミリア・ロマーニャ州を中心に、イタリア全土で栽培されており、「イタリアを代表する品種といわれています。名前の由来は「ジュピターの血」という意味だそうです。キャンティやブルネッロ・ディ・モンタルチーノといったワインは、サンジョヴェーゼを主体(100%でも可)としたものが多く、果実味豊かでフレッシュなものから、長期熟成に耐えるフルボディのワインまで、多彩なスタイルが楽しめます。若いワインはチェリーやラズベリーなどのフルーティーな果実香、スミレのような花の香りが特徴的です。味わいとしてはフレッシュな果実味、しっかりとした強めの酸、そして程良い渋みがバランス良く感じられます。また、熟成されたサンジョヴェーゼはスパイスやタバコ、キノコといった複雑な香りが感じられ、深みのある豊かな味わいが広がります。 さらに、地元品種や国際品種とのブレンドによって、多彩なスタイルのワインが生まれるのもサンジョヴェーゼの魅力です。(スーパートスカン:サッシカイア,オルネッライア,ルーチェ等)
・キアンティ ワインは指定地域でサンジョヴェーゼを70%以上使用した赤ワインです。キアンティ・クラッシコ(DOCG)は、その中でも特定の伝統的なエリアで造られた銘柄のみが表示を許されます。サンジョヴェーゼを80%以上使用し、通常品より7か月長い熟成期間が条件になります。さらに長熟(24か月+α)を経たものはキアンティ・クラッシコ・リゼルヴァ(DOCG)で、最上級のキアンティ・クラッシコ・グラン・セレッツィオーネ(DOCG)(30か月+α)は自社のブドウ園から収穫したブドウのみを用い、90%以上のサンジョヴェーゼを使用。他品種をブレンドする場合はトスカーナの伝統品種のみに限定されます。サンジョヴェーゼは突然変異しやすい品種で、多くのクローンが存在します。クローンは88種類にも上り、大きく「サンジョヴェーゼ・グロッソ」と「サンジョヴェーゼ・ピッコロ」の2つに分類されます。
サンジョヴェーゼ・グロッソは果粒が大きく、果皮が厚いため、タンニンが強く濃厚な味わいを持ち、長期熟成に向いています。
➩通常Siena(シエナ県)の村モンタルチーノではBrunelloブルネッロ種呼ばれ、ワインは、Brunello di Montalcinoブルネッロ・ディ・モンタルチ―ノが有名です。
同じシエナ県の村モンテプルチャーノでは、Prugnolo Gentileプルニョーロ・ジェンティーレといいワインはVINO NOBILE DI MONTEPULCIANOヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノが有名です。
➣サンジョヴェーゼ・ピッコロは果粒が小さく、果皮が薄いため、軽やかで華やかな味わいを持ちます。
➩主地域:イタリア北部 PIEMONTE(ピエモンテ州)
②Nebbiolo(ネッビオーロ)
ネッビオーロの名はクーネオ県での呼び名で、ピエモンテ州ではスパンナ(Spanna)、ロンバルディア州ではキアヴェンナスカ(Chiavennasca)、ヴァッレ・ダオスタ州ではピクトゥネール (Picoutener)やピコテンドロ(Picotendro)などと呼ばれます。
イタリアで最も高貴なブドウ品種の一つであり、サンジョヴェーゼと並んでイタリワインを知る上で重要なブドウ品種です。
北イタリアのピエモンテ州原産の黒ブドウ品種。非常に古くから存在するブドウ品種で、最初に言及されたのは13世紀にまで遡ります。
発芽が早いわりには収穫時期が遅い晩熟のブドウで、かつては10月後半から11月にかけて収穫されていました。名前の由来は諸説ありますが、晩秋の収穫時にブドウ畑に霧(Nebbia)がかかることから、この名前が付けられたとも言われています。
ピノ・ノワールのように、ネッビオーロは「テロワールを表現する」品種で、他のブドウよりも土壌や気候の特徴が味わいに反映されやすいと言われます。
ワインの一つ目の特徴は色合い。ネッビオーロの皮に含まれる色素の濃度が低いため、多くの場合、薄い色をしていています。長期間熟成させるタイプも多いことから、褐色がかった色になりやすいのも特徴です。
香りはバラの花、チェリー、プラムなどの香りが感じられ、熟成が進むとタバコやなめし皮などの香りが表れます。そして、若いネッビオーロの場合、色合いや香りからは想像つかないような渋みが特徴です。十分な熟成を経ることで、タンニンはとけ込んで滑らかになり、非常に複雑な風味の艶やかなワインとなります。
このような特徴から熟成することで真価を発揮するブドウ品種と思われがちですが、近年は技術の進歩や生産者のアプローチにより、若くから楽しめるネッビオーロも増えています。また、テロワールの個性を尊重したワイン造りが進み、熟成方法も大樽を使うか否かなどは生産者によって考え方が異なるため、出来上がるワインのスタイルも多様になりました。
これらの特徴を持ったピエモンテの代表的なワインが、Barolo,Balvarescoです。
バルバレスコはバローロから北東に約15~20km離れた川沿いに広がります。標高がバローロよりも低く、昼夜の気温差が比較的小さく、ブドウが早く熟すのが特徴です。バローロの土壌は泥灰土が多く見られるのに対し、バルバレスコはバローロよりも砂質が多く、粘土がやや少ないのが特徴です。 これらの条件から、バローロはよりしっかりとしたタイプのワインが生まれ、リリースまでの熟成期間も長いのに対し、バルバレスコは比較的軽やかなスタイルに仕上がります。



参考資料:サントリー ワインスクエア(Web)
「新ワイン学」編集幹事・戸塚昭,東條一元(株)ガイアブックス発行
学友会会長
廣嵜明博