カロテノイドのお話し(1)

研究員

カロテノイドって、なんですか?所長!

所長

難しいご質問ですね!!(^^)
それは、我々が口にする動植物に広く存在する黄色または赤色の色素成分で、我々の体内で重要な役割をはたす重要な栄養成分なんだよ。厚生労働省が公表している定義をみましょう。

動植物に広く存在する黄色または赤色の色素成分で、水に溶けにくく油に溶ける性質を持つ天然の化合物。カロテン類とキサントフィル類の 2 種類があります。カロテン類の代表的なものとしては、β-カロテンやリコピンなどがあり、β-カロテンは動物や人間の体内でビタミン A に変わります。キサントフィル類の代表的なものとしては、ルテインやアスタキサンチンがあります。これらは強い抗酸化作用を持ち体内に遭遇する活性酸素を、取り除く作用を持っています。

このため活性酸素が周囲の脂質を酸化してつくる過酸化脂質の産生を抑え、動脈硬化を予防したり、細胞の老化やがんの発生に対しても抑止効果があると考えられていることがわかります。

カロテノイドを多く含む食品は緑黄色野菜、マンゴー・パパイヤ・柿・あんず・柑橘類・すいかなどの果物のほか、とうもろこし、赤唐辛子、わかめやひじきなど海藻類、えび・かになどの甲殻類、いくら、卵黄などがあります。*出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)

所長

厚生労働省も農水省も、野菜を1日 350g摂取することを目標量とし、そのうち、120gを緑黄色野菜で摂ってほしいとしているのです。そして、緑黄色野菜をどれだけ取れているかを測定する指標として、カロテノイドが使われているのだよ。

研究員

トマトやニンジンの赤い色、カボチャや鮭のオレンジ色が、カロテノイドという色素のであることが分かりました。
色素であるカロテノイドは、ビタミンなどの栄養素と比べて、体内での消化吸収の仕方は異なるのでしょうか?

所長

カロテノイドは疎水性・脂溶性なので、食事の油分に溶け込み、消化管内皮細胞の細胞膜の脂質部分を通って、消化管のまわりの血管の中のコレステロール輸送分子に溶け込み、体を循環し、体中の細胞の脂質にとどまることになるんだ。

研究員

体の中で、結構な旅をして細胞に行きつくのですね。カロテノイドは細胞の脂質に行きついた後、どのような働きをするのですか?

所長

カロテノイドは必要に応じて細胞の局所の活性酸素を除去し、細胞内外の酸化ストレスを緩和して細胞内の酸化老化を抑制していると考えられているんだ。
食事からのカロテノイド供給が不足すると、活性酸素除去が追い付かなくなる、局所老化が始まるので、体内の必要度に応じて毎日の栄養補給が必要となるんだ。

研究員

カロテノイドは素晴らしですね、しかし、野菜の有効成分はカロテノイドだけではないですよね。

所長

そうだね、ビタミンや、カロテノイドなどの色素も含め、身体に良い成分が野菜には多く含まれているんだ。
野菜不足にならないように、皆さん、沢山のお野菜を食べましょう。

研究員

所長、ところで、野菜の摂取不足はどうしたらわかるのでしょうか?

所長

2019年から測定会場にて、カロテノイドの測定量から野菜摂取状況を即座に可視化できる機器を用い、社会実装試験研究を継続中なんだよ。

研究員

素晴らしいですね、どんな結果が出ているか教えてください。

岡部 敬一郎: 食糧学院長寿健康ベターエイジング研究所 所長・理学博士、 (元)東京栄養食糧専門学校校長 
中静 隆: 栄養士科81回生、健康長寿ベターエイジング研究所 客員研究員