糖化度のお話し(3)

研究員

糖化ストレスの説明の中で、「酸化は身体の錆びつき」「糖化は身体の焦げつき」とありましたが、どういうことですか?酸化は鉄が錆びると赤錆がでるのでわかりやすいのですが、糖化は「焦げる?」の意味が良くわかりません♪ 

所長

栄養士学校に入ると先ず実習で教えてくれる「アミノカルボニル反応」、またの名を、糖化反応を発見した研究者の名前を冠して「メイラード反応」いうのだけれど、この反応を説明しよう。 

パンケーキでの実験(食糧学院の実験から) 

1.のパンケーキは小麦粉のみ、 5.は小麦粉に砂糖を入れて焼いたもの。その他は砂糖以外の食品を添付したもの。
小麦粉にはタンパク質があり、そこに糖を加えることにより、こんがりと焼ける。
この褐色(焼き色)の物質を生じさせる非酵素的反応を「メイラード反応」という。
この反応が身体で生じる場合、「糖化」という。
メイラード反応は加熱によって短時間で進行するが、常温でも進行する。つまり、身体の中でユックリと進行してゆくため、一般的に加齢とともに糖化が進み、すべてのタンパク質は糖化ストレスに晒されている。
たとえば、コラーゲンの糖化は、肌の張りと弾力性を失わせ、老化した皮膚へと変質させる主な要因である。また、料理でも食材を焼け焦がしたりすることで、糖化最終産物(AGEs)が生成される。(焼け焦げなどで)食品に含まれるAGEsも体内に取り込まれるため、糖化ストレスとして無視できない。 そして、様々な細胞の老化現象の顕著な特徴と糖化反応は直結していると云われているため、糖化に関する研究は抗加齢(医療)や美容で注目されている。 当研究所では、体内の糖化ストレスを低減する食育を目指し、生活習慣病予防のバイオマーカーとして測定機器のAGE Reader mu®を活用し、個々人の生活スタイルとの関係も含め、調査研究をしている。wd

研究員

身体で「メイラード反応」が生じるので、「焦げる」ということになるのですね。 

所長

加齢に従い焦げていくのは避けられない。皮膚のコラーゲンが焼き過ぎ真黒「おこげ」の様にならないため、糖化度が高い方は、生活習慣を見直すことが必要だね。 また、身体で生じる「糖化」は最終的に糖化最終産物(AGEs)を身体内で産生させるのに対し、食品の「メイラード反応」で生じた褐色物質は一般的に「メラノイジン」と云うんだ。その種類は多く、また、醤油や味噌などに含まれるメラノイジンには、人が摂取することで抗酸化作用などを示すことが報告もあるのですよ。 メイラード反応も含め糖化は奥が深く、今なお研究が進められているんだ。 身体について少し詳しく説明すると、健常者も通常、食後の血糖値は一時的に上昇するという「血糖値スパイク(食後高血糖)」の現象がみられるんだ。特に、糖尿病の気がある人などは、食後高血糖がつづくと糖化反応が亢進し、そして、糖化最終産物(AGEs)が生成されるんだ。コラーゲンに結合し寿命の長いペントシジン(AGEsの一種)は、代謝されにくく体内での蓄積が見られるのですよ。 

研究員

料理では真っ黒に揚げ過ぎ・焼き過ぎを繰り返しているのですが、身体のなかでは「おこげ」が生じないような生活を心がけたいですね。 

岡部 敬一郎: 食糧学院長寿健康ベターエイジング研究所 所長・理学博士、 (元)東京栄養食糧専門学校校長 
中静 隆: 栄養士科81回生、健康長寿ベターエイジング研究所 客員研究員