「血糖値スパイク」とは、ブドウ糖には棘(スパイク)があるのですか?
ブドウ糖(グルコース)には棘はありませんよ。
食事前の空腹時の血糖値は正常であるものの、食後に血糖値が急上昇し、その後急降下することで、そのグラフの形状から「血糖値スパイク」と云われているのですよ。
通常は、食後にユックリと血糖値が上昇し、そのシグナルでインスリンが分泌され、元のレベルに戻ります。しかし、インスリンの分泌タイミングが遅れると、急激に血糖が高く上昇した後に、大量に分泌されたインスリンが効いてくると急降下することになり、平常値より低血糖状態を起こしやすくなります。
その血糖値スパイクの生活上の原因としては次の様なものがあげられます。
- 老化や肥満などの影響で、インスリンを分泌する膵臓の機能が衰える
- 糖質を摂りすぎ、インスリンが大量に分泌される
- 食事の速度が早い
- 運動不足
- ストレスが長期間続く
急激な乱高下は血管にダメージを与える可能性がるため動脈硬化の危険因子となり、血管障害が進行すると脳卒中や心筋梗塞などを引き起こしやくなると云われているんです。また、糖尿病予備軍の方に良く見られるといわれています。
しかし、健康診断では空腹時血糖値を計測するので、この症状が判明しない場合もありますよ。
具体的に「血糖値スパイク」とは、どのような血糖の状態を云うのですか?
この図は健常な方の血糖上昇のグラフで、右が血糖値スパイクが生じている図です。
同じ量の炭水化物を摂取しても、食べ方(早い・遅い、炭水化物を優先して食べる、など)によっても、血糖値スパイクが生じることもあるんだ。
また、上記の図のように、いつも食後高い血糖値スパイクが生じると、眠気やだるさが出る人もいて、放置すると糖尿病になる可能性が大といわれてます。更に体内でのAGEsの生成にも係わっていることが分かってきたんだ。
健康診断でも判らないのなら、どうすればいいんですか?
医療機関では、血糖値ストレスに関して、簡易的には食後30~60分に採血や血糖測定をする方法があり、また、精密検査も受けることも可能なんだ。
また、血糖値ストレスがAGEs生成の原因の一つとして研究が行われていて、糖尿病患者でなくともAGEsが多く蓄積されているケースもあるんだ。
糖化度測定(SAF*測定)の会場でも、同じようなケースはみられるのですか?
そうだね、本人の健康診断では問題ないが、SAFの値が基準を大きく上回る場合はあるよ。その場合には、計測時に本人に対して食事の見直しや運動を推奨もし、実際に、数か月後に再度測定したらSAFの値が改善されたケースもあるんだ。
次回は、血糖値ストレスとAGEsの生成、および一般的な血糖値スパイクの改善方法について、お話ししよう。
*SAF: SkinAutoFluorescence
岡部 敬一郎: 食糧学院長寿健康ベターエイジング研究所 所長・理学博士、 (元)東京栄養食糧専門学校校長
中静 隆: 栄養士科81回生、健康長寿ベターエイジング研究所 客員研究員