糖化度のお話し(10)

所長

前回は難しい話が多くて申し訳なかったけれど、今回は、血糖値スパイクについて、食事や食事以外でも気を付ける事項を説明しましょう。
まずは、前回の続きで、食事で血糖値スパイクのコントロールを行う手段として、「GI」の話をしましょう。

研究員

映画で有名な「GI ジョー」の GI ですか?

所長

いやいや、アメリカ陸軍の兵士の俗称である GI とは違って、食後血糖値の上昇を 示す指標、グライセミック・インデックス(Glycemic Index:GI)の略なんだ。

前回の血糖値スパイク対策の1番目は、「食事で摂取する順番を考えること」でしたが、2番目にGIという指標に基づいて糖質を抑えるための食材について説明しよう。
でも、よく理解しないと間違った生活習慣になる可能性があるので、長くなるけれど、シッカリ理解してくださいね。
まず、「GI」とは、食事(炭水化物:食物繊維を除く糖質50g)を食べた後の血糖値上昇の度合いを数値化した指数のことです。
食後血糖値の上昇を「ブドウ糖=100」として指標化した場合に、高GIとは70以上、中GIとは56〜69、低GIとは55以下の食品と定義しているのです。
つまり、低GIの食品を摂取すると血糖の急速な上昇は避けられ、高GIは血糖値の上昇が見込まれる、ということなんです。
外食などで食事の選択に迷ったら、低いGI値の献立を選ぶのもよいでしょう。
次の表は1例なので、医療機関のウエッブサイトなどにGIのリストが掲載されているので、参考にすることが出来ます。

※公表している機関で、ランク付けは異なる場合があります
研究員

図を見てみると、高GIに「ニンジン」がありますね。根菜で糖分はあまり入っていないような気がして、実際に食事している感覚からすると違和感があるのですが、正しいのですか? 

所長

いいところに気づきましたね。「ニンジン」のGI値は70〜80程度で、高GIに分類されるのです。
ただし、含有する炭水化物量が少ないため、一度に大量に食べなければ血糖値を上げすぎる心配はありませんよ。 

研究員

大量にとは、どの程度になるになるのでしょうか? 

所長

大体なのだけれど、糖質50g相当のニンジンであると、1Kg程度と試算する研究者もいるんだ 

研究員

ニンジン1Kgは、なかなか食べられませんね(>_<) 

所長

そのとおりで、食事での量を勘案しないとGI値だけでは説明不足になるんだ。
なので、最近では1回に食べる量を想定して食後血糖上昇の度合いを数値化したグリセミック・ロード(GL)とうい指標が考案されてきているんですよ。

GLは、「食材100g中の炭水化物量(g)×GI値÷100」で求め、GL値が20以上を高GL食、11から19を中GL食、10以下を低GL食に分類されることが多いですね。

「ニンジン」はGI=80程度といわれ高GI食なのですが、1回の摂取量が100g程度の場合には、GL値は2程度(低GL食)であるため、食後血糖の上昇は軽度となるんだ。
また、同じことは「カボチャ」にもいえて、GIが高くともGLが低いので、緑黄色野菜のメジャーな2品目を高GIだからと云って避ける必要は殆どないんだ。

ただし、「ニンジン」や「カボチャ」を、一回の食事で1Kgも食べる方は、要注意かな?

一方で、低GI食であっても、摂取量が多くなることで高GL食となり、食後高血糖を来すこともあるので、GI値に惑わされないで、Webなどで検索して自分の食べたい食材の分量を勘案し、GL値も基準にして摂取するこいとが肝要なんです。

※Web上で、GLに関する研究や食品リストが公表されています。 
研究員

Webの中では、「低GI値」を売りにした健康食品などが販売されているのですが、消費者もGIとは何か、GLも含めて接種量もキチンと理解したうえで、血糖コントロールを行う食事を行うように心がける必要がありますね。
GLのお話しを伺えたので、皆さんにも健康というGood Luck(GL)が来ることを願っています! 

所長

そうだね、日本でもこのような研究が進んでゆくと、栄養士も献立などの制作に役立つと思いますね。
次回は、血糖上昇を抑える「おやつ」についてお話ししましょう。 

岡部 敬一郎: 食糧学院長寿健康ベターエイジング研究所 所長・理学博士、 (元)東京栄養食糧専門学校校長 
中静 隆: 栄養士科81回生、健康長寿ベターエイジング研究所 客員研究員