糖化度のお話し(7)

研究員

「血糖値」というと、血液のなかに糖類が溶けているんですか?

所長

血糖値の「糖」はブドウ糖(グルコース)のことで、厚生労働省の「血糖値」の説明を見てみよう。

血液内のブドウ糖の濃度。

食前・食後で変動する。低すぎると低血糖、高すぎると高血糖を引き起こす。

血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。食事中の炭水化物などが消化吸収されブドウ糖となり血液に入ります。このため血糖値は健康な人でも食前と食後で変化します。通常であれば食前の値は約70~100mg/dlの範囲です。

血糖の濃度が上昇すると、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きにより、ブドウ糖が身体の細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。余分なブドウ糖はグリコーゲンへ変換され血糖値を下げます。グリコーゲンは肝臓や筋肉に貯えられます。

一方、空腹になると血糖値が下がります。そうすると同じくすい臓から分泌されるホルモン「グルカゴン」などの働きにより、肝臓などに貯蔵されたグリコーゲンをブドウ糖に分解させエネルギーとして使い、血糖値を正常に戻します。

血糖値が必要以上に低くなることを低血糖と呼び、血糖値が下がった際の血糖を上げようとする交感神経刺激ホルモンの作用でふるえや動悸の症状が起こり、脳へのエネルギー不足から意識低下や昏睡に至る場合があります。

一方、血糖値が高いまま下がらない状態が続くことを高血糖と呼びます。この状態が長く続くと血管が傷ついて動脈硬化を引き起こし、糖尿病など様々な病気を発症する危険が高まります。

糖尿病とはインスリン分泌の不足か、分泌されても十分に働かないため血糖値が慢性的に高くなる病気です。

*出典:e-ヘルスネット

研究員

ブドウ糖(グルコース)は血液に入っているのですね。

所長

そのほか、果物に多く含まれる単糖類のフルクトースも運んでいるよ。
でも、肝臓でブドウ糖に変えられるんだ

研究員

糖質も含め、血液はいろんなものを運んでいるのですね。
ところで、血糖値は食事前後で値が違うのですか?

所長

そうだね、食事で摂取したデンプンや砂糖は、消化器官内でブドウ糖に変換されて小腸で体内に取り込まれ血液に入り込むんだ。
ブドウ糖が血中に入ると血糖値は高くなるのだが、そのままの値ではないのだ。
身体活動のため、細胞がブドウ糖を欲して取り込み、結果、血糖値が下がるんです。

研究員

血液には、いつもブドウ糖が存在するのですか?

所長

そうだね、身体の各細胞はエネルギー生成のためにブドウ糖が必要になるので、食事をしていないときにも、血中には一定のブドウ糖が含まれているよ。
個人差はあるけれど、食事前で血糖値は約70~100mg/dlと云われているよ。

研究員

生物の教科書に、こういう血糖の記載がありますね。 血糖値を下げるホルモンはインスリンの1種類。血糖値を上げるホルモンは、成長ホルモン、副腎皮質ホルモン、 副腎髄質ホルモン、甲状腺ホルモン、などあり、との記載がありますね。
血糖値を下げるとは、インスリンはブドウ糖を分解するのですか??

所長

いやいや、インスリンはブドウ糖を分解しないよ。
インスリンは食後の血糖値が上昇に対し、血糖値を食事前の濃度に戻す役目をするのだよ。
詳しくは、血糖値が上昇するとインスリンが膵臓(ランゲルハンス島)から出て、細胞のインスリン受容体に結合する。その結果、細胞は血液中のブドウ糖を取り込み、血糖値が下がるのだよ。
また、細胞に取り込まれたブドウ糖は、その後、細胞内のミトコンドリアにてATP産生を行いエネルギー源となるか、または、主に肝臓や筋肉、腎臓、心臓の筋肉(心筋)にグルコーゲンとして蓄えられるか、脂肪細胞内に取り込まれるんだ。

研究員

川(血管)に住むお魚(ブドウ糖)が多くなると、インスリンが出て血糖がいつも同じような濃度にするのですね!
ところで、血液中の血糖が少なくなったらどうなるのですか?

所長

低血糖にならないよう別のホルモンが分泌され、体に蓄えられていたグルコーゲンを分解したりして、ブドウ糖を一定数に保つようにしているんだ。このホルモンは、成長ホルモン、副腎皮質ホルモン、 副腎髄質ホルモン、甲状腺ホルモン、など複数あり、低血糖になるのを防いでいるんだ。

岡部 敬一郎: 食糧学院長寿健康ベターエイジング研究所 所長・理学博士、 (元)東京栄養食糧専門学校校長 
中静 隆: 栄養士科81回生、健康長寿ベターエイジング研究所 客員研究員