糖化度のお話し(7)-2

研究員

前回は、個人差はあるものの、血糖は一定の値になるようにホルモンで調整されているとのご説明でしたね。
インスリンの機能も、川の中にいる魚をブドウ糖に見立ての説明を頂きました。  

所長

そうだね、前回の図を見ながら、続きをご説明しましょう。

研究員

では、川(血管)から獲ったお魚(ブドウ糖)は、家(細胞)でどうなるのですか?

所長

大まかに、3つのパターンがあるよ。
①前回お話しした細胞内のミトコンドリアによりブドウ糖をATPというエネルギーに変えること、
②主に、肝臓と骨格筋内でブドウ糖を繋ぎグリコーゲンとして蓄積すること、
③それでも血液中のブドウ糖が多いと、インシュリンがブドウ糖を中性脂肪に変え、その中性脂肪を脂肪細胞に蓄積すること、
このようになるんだ。

研究員

インスリンの他にも、血糖を下げるホルモンがあれば健康維持に役立つのにね!

所長

現在は食物摂取が充分に行われているが、おそらく歴史的に人類は飢饉などで身体への糖類も含めた栄養補給が充分でなかったんだ。 低血糖は命にかかわる症状を短時間で発現する。そのため、人体は生命維持のために、肝臓に貯蔵したグリコーゲンをブドウ糖として血液中に戻すようにするので、血糖値を上げるホルモンが多い理由かな。 反対に、人間にとり栄養摂取が足りない時代が長かったので、人間には血糖を下げるものが1種類しか用意しなかった、と思われる。
日本では糖質も含め栄養価の高い食事の摂取が可能だね。ただし、血糖値が高止まりであると糖尿病などの原因となるので、血糖コントロールが必要なのだ。

研究員

とことで、血糖上昇のホルモンが分泌された後も、引き続き低血糖状態になったら、どうなるのですか?

所長

糖新生の現象が発生し、筋肉(タンパク質)をアミノ酸に分解してそれをエネルギーに変えるんだ。
糖新生が起こると、筋肉がどんどん少なくなっていき、脂肪だけが残ってしまうので、要注意だね。
ちゃんと食事をして栄養を摂取し、血糖値も正常値に保つことが重要なのですよ。

研究員

世界に目を移すと、食事で栄養を充分に摂れない方々も多いのですよね。

所長

そうだね、日本は人口が減っているけれど、世界では人口増となっているため、今後、食糧・栄養の問題は、日本の食糧の安全保障の観点からも課題になるね。
次回は、糖化度に大きな影響をあたえていると考えられている「血糖値スパイク」の話をしようね。

岡部 敬一郎: 食糧学院長寿健康ベターエイジング研究所 所長・理学博士、 (元)東京栄養食糧専門学校校長 
中静 隆: 栄養士科81回生、健康長寿ベターエイジング研究所 客員研究員